不動産投資をするうえで重要なのが、住む人がいるかどうかです。人口が減っていくエリアの物件を買ってしまうと、入居者が決まらず最悪家賃を下げて募集することも…。そのため予想していた家賃も入らない可能性もあります。
人口増減を確認するには「人口動態」から読みとります。人口動態とは、一定期間に人口が出生・死亡・結婚・移動などにより変動する指標です。今回は日本全国・東京・品川区の人口動態について紹介します。人口動態の推移により、不動産投資の有無を判断しましょう。
日本全国の人口動態
2015年に国勢調査をスタートし、2065年までの各年10月1日時点の日本全国の人口を推定しています。2015年の人口は約1億2,700万人でピークに達し、その後2053年には1億人をきり、2065年は約8,800万人と減少する推計です。
また出生数が高い予想(出生仮定高位)だと2065年は約9,500万人、低い予想(出生仮定低位)で2065年は約8,200万人と推定しています。
少子化、晩婚化などの影響で全国的に人口は減少傾向です。不動産投資(売買)を始めるには人口の動態を確認し、どのエリアに投資するかを見極める必要があります。
全国世帯数の推移
全国の世帯数の推移は、2025年までは増加傾向ですが、それ以降2040年までは減少に転じています。
また世帯別では、単独世帯は2040年まで増加傾向です。逆に夫婦と子ども世帯は1985年をピークに減少しています。夫婦のみや、ひとり親世帯は大きく増減はしていませんが、総人口が減少するため2040年にはどの世帯も減少しています。
高齢社会になり夫婦どちらかが先に亡くなる、または晩婚化により単独世帯が増えるという予測です。
参考:国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)
全国出生数の推移
15歳〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものが、「合計特殊出生率」となります。平成29年推計での出生率は、2015年〜2025年までゆるやかに下がり、2065年には出生率は1.44で推移します。
出生率に関しては現在2021年から2065年は、あまり変化していません。今後も少子化や晩婚化で出生率が横ばい状態が続く見通しです。
参考:国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)
東京の人口動態
全国の人口は減少しているのにも関わらず、東京都の人口は2030年までは増え続けています。2030年の1,388万人をピークに、2045年には1,360万人と減少していますが、ほぼ横ばい状態です。
ほかの大都市で比較すると、愛知県は2020年の750万人をピークに2045年には、689万人に減ります。大阪府では2015年の883万人をピークに2045年には733万人に減少。福岡も2015年の510万人をピークに2045年には455万人に減っています。同じ大都市でも東京都は減りが少ないのがわかります。
参考:国立社会保障・人口問題研究所「Ⅱ. 都道府県別にみた推計結果の概要」に掲載された表」
世帯数の推移
東京都の世帯別の推移は、単独世帯がずっと増え続けています。2020年には339万人が、2040年には369万人になると予測されています。
夫婦のみ世帯も、2040年に向けて増加傾向。夫婦と子ども世帯、ひとり親と子どもの世帯は逆に2040年に向けて減少しています。少子化により、子どもを持つ夫婦が減るのと、高齢化によって夫婦のどちらかが先に亡くなることで、単独世帯が増えると予測されます。
また東京都の場合、単独世帯が増加しているのは仕事や学校により東京に人が集まる影響もあるでしょう。
出生数の推移
東京都の出生総数は2015年の113,194人をピークに、令和元年には101,818人まで減り続けています。結婚しないまたは遅い、子どもの出産人数が減るなど、さまざまな理由で人口が増える東京都でも少子化は避けられません。
参考:東京都福祉保健局「出生数・死亡数・死産数・婚姻数・離婚数・合計特殊出生率・平均初婚年齢(Excel:26KB)」
品川区の人口動態
国立社会保障・人口問題研究所によると、品川区の人口推移は2045年まで増え続けています。2020年から2045年の25年間で37,425人増加の推測です。
品川区は交通アクセスがよく、路線数や駅も多いため利便性は全国的にみてもトップレベル。また2015年に大崎駅西口バスターミナルが完成し、羽田・成田空港行きや、名古屋・大阪など全国に直結しています。2027年にはリニア中央新幹線の始発駅となる品川駅があり注目の街です。
不動産投資をする場合、利便性が良いのは入居者にとってもプラスの材料です。人口が増加傾向の品川区のどのエリアに投資するかも見極めも必要になります。
参考:国立社会保障・人口問題研究所「各都道府県別、市区町村別の男女・年齢(5歳)階級別の推計」
品川区の世帯数の推移
品川区への転入数は、40歳未満の単身がもっとも多く、その次に40〜64歳までの単身世帯が多い。五反田にIT企業やベンチャー企業が多く集まり、働き世代の単身が増えたのが要因の一つとして考えらます。
不動産投資で物件を購入する場合、そのエリアの世帯別も確認しましょう。単身者が多いエリアなのにファミリー向け物件を購入してしまうと、賃貸需要に合っていなく空室ばかりになるかもしれません。物件を購入前に地域に根付いた不動産会社に、単身世帯が多いのかファミリー世帯が多いのか相談するのが大事です。その地域の賃貸需要をあらかじめ確認しましょう。
参考:品川区 品川区の人口の現状について
参考:品川区の統計 2021年第6回 人口
品川区の出生数の推移
2016年〜2020年の全国では出生率は低下傾向であるが、品川区は横ばい状態です。東京都の中でも保育園の待機児童も少なく、品川区の子育て支援も充実している影響もあるのではないでしょうか。また都心部のなかでも犯罪件数が少ないのが特徴です。
参考:品川区 出生率
なぜ都心に人が集まる?
都心に人が集まる要因として以下が考えられます。
- 大企業や大学などが集中している
- 地方より給料が高い
- おしゃれな飲食店やショップが多く、住むのに憧れる
とくに大企業が多く集まっているのが要因として考えられるでしょう。大企業が都心に多く集まれば、それに関連する企業も多く集まります。企業が多く集まれば、飲食店も増え、さらに多様な企業が増えることで経済も活性化され、より都心に人が集まりやすいです。
また品川区では再開発も多く、人が集まりやすくなっています。とくに大崎駅周辺は、東京都により「副都心」として位置づけられました。都心に集まり過ぎた企業を副都心にも分散するため大崎駅周辺には企業が集まり、タワーマンションも立ち並び、住環境も整えられ人が集まりやすい地域となりました。
まとめ
人口は全国で見ると減少しています。都心部のなかでも愛知、大阪、福岡も減少していますが、東京は増加傾向です。不動産投資(売買)をするなら、人口が減り続けるエリアよりは、人口が増えているエリアの方が賃貸需要もあるため、東京都が望ましいでしょう。
不動産投資をする場合、どの地域にするか、賃貸需要はあるのか、家賃をいくらに設定するかが大事です。地域に関することや、人口動態を知るには、地域に根付いた不動産会社に相談してみましょう。