2.賃貸住宅管理適正化法の内容
3.サブリースと管理受託の違い
4.賃貸住宅管理適正化法の中の”業務管理者”とは
5.賃貸経営管理士の役割と必要性
6.まとめ
1.賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律ができる背景
この度「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が2020年6月12日、参議院本会議において可決され成立しました。この法律が出来る背景、みなさんご存知でしょうか?
実は、2018年に不動産業界に激震が走った【かぼちゃの馬車事件】が大きなきっかけと言われています。
かぼちゃの馬車とは?
株式会社スマートデイズ(現在は破産)がブランド化していた女性専用シェアハウスの名称です。
スマートデイズはオーナーにシェアハウス建築を提案し、建築後一括で借り上げ、入居者へ賃貸(いわゆる「サブリース」ですね。)をしていました。
何が問題になったの?
かぼちゃの馬車は8%と高利回りの上、30年保証が付いていました。これは言い方が悪いかもしれませんが、オーナーに注目され、シェアハウスを建ててもらうための”嘘”でした。
当たり前ですが、高利回りを実現する為には高い家賃を設定しなければなりません。ただ、そうすると入居者は入りません。当初は新しいシェアハウスを建築し、その建築をした建築会社からのキックバック等でオーナーへ支払う家賃の穴埋めを行っていましたが、建築すればする程、穴埋めをしなければならない空室分の赤字が膨らみ、最終的にオーナーへ支払う事が出来なくなりました。典型的な自転車操業でした。
最終的に被害を被ったオーナーは700人以上、総額1000億円を超えました。オーナーはローンを組んで建てている方も多く、家賃が滞ると返済が出来ず、最終的には自己破産しなければならない人も多くいました。
そんな被害者の方達をこれ以上出さないようにと作られた法律が賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律なのです。
2.賃貸住宅管理適正化法の内容
今までの賃貸住宅管理業務は法律等に規定されていなかった為、不動産仲介業とは違い「業」として国土交通省への登録の必要性は無く、誰でも行うことができました。本法律が施行されると、国土交通省への登録が必須となり、一定の業務水準が求められ、業務水準を確保した優良な事業者のみが業として行うこととなります。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律には住宅管理業務のみに限らず、サブリース業務に関するルールも定められています(例:サブリース業者とオーナーで締結する契約までの間に契約内容が記載された書面を交付し、説明を行わなければならない等)。
管理業務に関しては今まで罰則はなかったのですが、本法律については罰則が規定され、管理業者には今までとは違ったルール順守の住宅管理が求められるようになります。
3.”受託管理”と”サブリース”の違い
ここまでサブリースのお話をさせて頂きましたが、実際には管理の委託方法は”受託管理”と、”サブリース”という2つの方法があります。その違いは何でしょうか。以下は国交省の説明図です。
受託管理
管理手数料:4~8%程度
オーナー(所有者)は入居者と賃貸借契約を結びます。賃貸住宅管理業者とは管理受託契約を結びます。
※賃料の補償はされませんが、費用はサブリース業者と比較し割安となっています。
※管理会社を比較検討・変更する事も可能です。
サブリース
管理手数料:10~15%程度
オーナー(所有者)はサブリース業者と賃貸借契約+管理受託契約を結びます。
入居者はサブリース業者を貸主として賃貸借契約を結びます(転貸借契約)。
※トラブルが生じやすいのはサブリース業者が賃借人の立場でオーナー様へ家賃の減額を迫るケースです。
※賃貸借契約と併せて建物の管理も任せている為、建物の管理に不満を持ったり、管理料の見直しを考え、変更したいと思っても難しい場合が多くみられます。
“受託管理”は丸投げには出来ませんが、手数料割安・空室時の家賃保証無、”サブリース”はお手軽便利な分、手数料割高・空室時の家賃保証有(※ただし家賃交渉のリスク有)、といった違いがあります。以上が”受託管理”と”サブリース”の違いになります。
4.賃貸住宅管理適正化法の中の”業務管理者”とは
今回、国土交通省が発表した賃貸住宅管理適正化法の案文では
(業務管理者の選任)
第十二条賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、一人以上の第四項の規定に適合する者(以
下「業務管理者」という。)を選任して、当該営業所又は事務所における業務に関し、管理受託契約(管
理業務の委託を受けることを内容とする契約をいう。以下同じ。)の内容の明確性、管理業務として行う
賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係
る事業の円滑な実施を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事
務を行わせなければならない
と記載があります。賃貸住宅管理業者は営業所(又は事務所)ごとに業務管理者1名必須。その”業務管理者”とは一体何者なのでしょうか?
実際の所、2020年9月時点ではまだ明確に決まってはいません。案文では第十二条(業務管理者の選任)で「賃貸住宅管理業務において、必要な知識及び能力を有する者」との旨の記載があり、「賃貸不動産経営管理士」等が想定されています。
5.賃貸経営管理士の役割と必要性
不動産関連の資格では一番有名な「宅地建物取引士(宅建士)」や「マンション管理士」「管理業務主任者」等の国家資格がありますが、今回業務管理者として想定される「賃貸不動産経営管理士」とは他の資格と違い、”賃貸管理業務全般”に関する資格となっている為、幅広い管理に関する知識の習得が必要となります。
当社ランドワーク不動産では現在、オーナー様に安心して管理をお任せ頂けるよう、営業に携わる全従業員の賃貸不動産経営管理士資格取得を目指しています。
6.まとめ
また、不動産賃貸オーナーにとっては安全な管理の委託先の判断が出来るようになります。その中で、管理受託・サブリースの違いを理解し、どちらがより安心出来るか、自分に合っているか、利益を出せるのかを検討し、どの管理業者へ任せるかを判断する事が重要かと思われます。
受託管理
〇メリット
・手数料が安い(4~8%程度)
・管理のみの契約なので見直しがしやすい
×デメリット
・空室時の家賃補償がない
サブリース
〇メリット
・空室時の家賃の補償がある
・手間がかからない
×デメリット
・手数料が高い(10~15%程度)
・家賃値下げ交渉がサブリース業者より入る可能性がある。
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