暮らしやすい街の定義は、人それぞれの価値観やライフスタイルによって異なる。しかし、共通しているのは、心が癒される時間が流れ、そこに暮らすだけで安らぎを感じられる場所ということだろう。
今回、ご紹介する桜新町は、そのような条件を満たした街だ。この街には、単身者はもとよりファミリー層からシニア層まで幅広い世代が快適に暮らせるよう、公園、スーパー、図書館、学校、病院など、さまざまな施設が整っている。
そして、それらの施設が「ほどほど」に存在し、暮らす人々に心地よい幸福感をもたらしてくれるバランスの取れた街である。
後編では、そんな桜新町の暮らしやすい住環境を中心にご紹介しよう。
旧大山街道沿いに佇む、まとまりのある街
東東急田園都市線・桜新町駅の改札を出て地上に上がると、旧大山街道沿いに穏やかな商店街が広がっている。ちなみに旧大山街道とは江戸時代、赤坂を起点に、大山阿夫利神社まで続く矢倉沢往還とも称される脇街道を指す。
江戸庶民にとって人気観光地だった大山詣りの道として栄えるとともに、物資を運ぶ輸送路としても重要な役割を担い、その道筋は現在の国道246 号とほぼ同じルートを通っている。
桜新町の原点ともいえる新町住宅地は、この旧大山街道に沿って造成された。大正時代初期、まだ田園都市線が「玉電」と呼ばれ地上を走っていた頃、沿線の活性化を目的に分譲住宅地の開発が始まったのが、そのきっかけである。
世田谷区によれば、当時この風光明媚な土地には別荘を構える富裕層も多く、その流れは戦後にも受け継がれた。やがて高所得の勤め人のみならず、芸術家たちも住まう街へと発展していったという。
現在の桜新町に感じられる、まとまりのある落ち着いた街並みは、こうした歴史的背景に由来しているのだろう。


ファミリーからシニアまで幅広い層が暮らしやすい
桜新町が暮らしやすい街とされるのは、一言で言えば、落ち着きと利便性を兼ね備えているからだろう。500 メートルほど南を走る国道246 号沿いとは対照的に、高速道路や幹線道路のない旧大山街道を中心とした街並みは、空をふさぐ高架や高層建築がないため開放感にあふれ、街全体に柔らかな雰囲気が漂っている。
それでいて、生活に欠かせない施設が充実しているのも特徴だ。スーパーはライフ・サミット・ピーコックといった全国チェーンから、成城石井や自然食品F&F といったこだわりの高級店まで揃い、コンビニもセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートがある。
ファストフードはマクドナルド、ケンタッキー、ココ壱番屋、松屋、すき家が揃い、ファミレスはロイヤルホストやシズラーがある。
また、京都発のOGAWA COFFEE LABORATOR、スターバックスコーヒーをはじめとするおしゃれなカフェやこだわりのコーヒーを提供する昔ながらの喫茶店も多い。レストランなどの飲食店も和洋中とさまざまで、庶民感覚の定食屋から高級イタリアン、フレンチまで幅広く揃う。
さらに、内科、歯科、皮膚科、小児科、耳鼻科、産婦人科などの病院が50 以上あり、医療面でも安心して暮らせる環境が整っている。
桜新町には、世田谷区立新町南公園、新町2-25 遊び場、世田谷新町公園、桜新町さくらっ子公園、桜新町一丁目緑地(サザエさん公園)、桜新町二丁目ウレシパモシリ市民緑地など、公園も住宅地の合間に点在している。
旧大山街道やサザエさん通り沿いの賑やかな店舗街から、一歩奥に入ると閑静な住宅街と緑豊かな公園が広がる。これも、桜新町の大きな魅力の一つだろう。



流れる風景が多くの人に安堵感を与える
桜新町駅には急行は停車せず、利用できるのは準急と各駅停車である。しかし、桜新町駅から主要駅までの所要時間は、新宿まで26分、渋谷まで11 分、池袋まで36分、東京まで33分と、良好なアクセスを誇る。また、都立大学・目黒・用賀方面への路線バスも通っている。
かつて銀座が日本を代表する繁華街であった頃、その街に暮らし、あるいは遊び場としていた人々は、銀座のことを「中」と呼んでいたという。つまり、彼ら・彼女らにとっては、東京に暮らしていながら銀座さえあれば事足りたのである。
桜新町についても同じことが言えるのではないだろうか。閑静な住宅街、緑豊かな環境、生活に必要な施設、交通の利便性など、それらすべてがコンパクトな街並みに収まっている。言い換えれば、この街の「中」だけで日常のすべてがほぼ満たされてしまうのである。
そして桜新町を歩くときは、そこに流れる風景にぜひ目をとめてほしい。その空気感が、多くの人に安堵を与えてくれるに違いない。





