多様な要素が魅力的な街・五反田（後編）

オフィス街・繁華街・住宅街など、多様な顔を有する五反田。本記事では、そんな五反田の魅力を2回に分けて紹介します。後半は、ベンチャー企業が集積する「五反田バレー」やタワーマンションの建設など、駅周辺で進む再開発に触れながら、五反田の未来像についてご紹介します。

中小規模のベンチャー企業に優しい街

前半記事で紹介した通り現在の五反田は、街の東側に都内屈指の高級住宅地を持ちながら、駅周辺には繁華街。そして、数々の企業が集まるオフィス街という3つの顔を有する街となりました。
中でも注目を集めているのが、おおよそ10年ほど前からスタートアップ企業が集まりはじめたエリアを指す「五反田バレー」の存在でしょう。

「バレー」とは、アメリカのカルフォルニア州北部・サンフランシスコベイエリアのシリコンバレーをもじったもので、本家同様にIT関連企業が集積するエリアとなっています。
そしてここには、約10年間で400社を超えるベンチャー企業が拠点を置き、五反田はまさにこれからの日本経済を支えていくと思われるベンチャー企業のサンクチュアリと言っても過言ではない街になったのです。

こうした背景には、五反田という街の特性が大きく関わっています。

従来においてベンチャー企業が本拠を構えた街の代表は、五反田から3駅離れた渋谷でした。そもそも渋谷は、新宿・池袋と並び東京都心に位置する繁華街として栄え、特に若者文化発信の地とされてきました。
ところが渋谷は近年、東急グループを中心とする再開発事業で、都内屈指の働く・遊ぶ・暮らすの3要素が融合した街に変貌し、未だに発展を続けています。
それと同時にその不動産相場は、高騰せざるを得ない状況になりました。ですから、これから新たに渋谷に本拠を構える企業は、ベンチャーであっても大企業でなくてはならないという条件が付きます。
そうした中で、オフィスの賃料相場が渋谷よりもかなり手頃な五反田に、中小規模のベンチャー企業の視点が集まったのです。

また、五反田の利便性も企業にとっては魅力の一つです。JR五反田駅からは、東海道新幹線の主要ターミナル・品川駅まで2駅。都営浅草線・京急線を利用すれば羽田空港まで約40分。成田空港にも1時間30分以内で到達できるという好アクセスを誇ります。
さらに鉄道利用では、企業にとって自社ブランドの訴求の場である展示会場のお台場まで20分、幕張メッセまで1時間とこちらも好アクセスです。

現在、五反田にオフィスを構える企業のほとんどが、従業員100人以下の小規模な会社と言われています。
中小企業庁が発表した2021年6月時点のデータでは、日本国内には337.5万社の企業が存在していますが、その中で大企業は1万364社で全体のわずか0.3％です。一方、中小企業は約336万社で、全企業数の99.7％を占めます。
古くは目黒川沿いに中小工場が並んでいた五反田には、こうした中小規模の企業をしっかりとサポートできる街としての優しさが残っているのではないでしょうか。

進行するプロジェクトでより住みやすい街に

五反田の東側には「城南五山」と称される高級住宅街があり、このエリアに足を踏み入れると、そこは駅周辺の喧噪とは異世界の静かで落ち着いた住宅街が広がります。今も立派な門構えの一戸建てや、低層の高級マンションが建つ住宅街を形成しています。
そして「城南五山」の西側では、五反田駅と目黒駅・大崎駅を結んだエリアの住宅環境の整備が進められ、五反田は暮らしやすい街として変貌しつつあります。
具体的には、五反田駅と大崎駅の中間エリアで、東五反田二丁目第3地区第一種市街地再開発事業として、目黒川の水辺を活かしたオープンスペースや市街地などを整備。また、五反田駅と目黒駅の中間エリアでは、「自然な私に還るまち」をコンセプトに、賃貸住宅・分譲住宅による複合型の街づくりプロジェクト「MEGURO MARC」が進行中です。
こうしたプロジェクトの整備が進めば、五反田の住環境は大きな発展を遂げることでしょう。

心を癒す新旧の飲食店がたくさん存在

昔から繁華街として知られた五反田。ここには、古くから暖簾を掲げる老舗的な居酒屋・大衆食堂・バルから、中国料理・フレンチ・イタリアンなどのリッチなレストランが。そして、最近では、マスコミでも紹介されるようなお洒落なカフェまで、幅広いジャンルの飲食店がこのエリアに凝縮されています。
とにかく五反田には、あらゆるジャンル・価格帯・規模の飲食店が揃っているといっても過言ではありません。飲食店の多さでその土地の価値が決まるわけではありませんが、住む人や訪れる人の心に、癒しや満足感を与える大きな要素になることは間違いありません。